What's copy?

キャッチコピーとは?

「キャッチコピー」とはなんでしょうか。僕は「キャッチコピー」と聞くと、昔大好きで聞きまくっていた「ももいろクローバーZ」の自己紹介を思い出します。リーダーである百田夏菜子さんの当時の自己紹介はこんな感じでした。

えくぼは恋の落とし穴、百田夏菜子です。

まさに名前の前についているこのフレーズこそ、キャッチコピーではないでしょうか。もしキャッチコピーがなかったとしたら。

百田夏菜子です。

「あっ、そっすか」と、名前だけ言われても興味湧きませんよね。これに「えくぼは恋の落とし穴」とキャッチコピーを付けることで、「なるほど、この子のチャームポイントはえくぼなのか…!」といつの間にか「百田夏菜子」さんに興味が湧いてきます。まさに落とし穴!簡単に整理をすると、こんな感じでしょうか。

▼キャッチコピーの目的
「百田夏菜子」に注目してもらいたい

▼キャッチコピーで伝えたい事
「百田夏菜子」のチャーミングな笑顔

▼キャッチコピーの工夫
「笑顔」だと普通なので「えくぼ」と具体的に訴求

▼キャッチコピーの提案
えくぼは恋の落とし穴

「百田夏菜子」に注目してもらいたい。そのためには、百田夏菜子さんの魅力である「笑顔」をPRしたい。でも普通に「笑顔が可愛い」と伝えるだけでは無視される。だから「えくぼは恋の落とし穴」という言葉で興味を湧かせ、百田夏菜子さんにメロメロにさせていくわけですね。

この仕掛けこそ、キャッチコピーだと思います。
(決してももクロの回し者ではありません)

「面白い」「気になる」「詳細を見てみよう」「買っちゃおうかな」と、売り手と買い手を結び付けるフックが、キャッチコピーの役割です。つまりキャッチコピーは、ただのいい感じの言葉ではなく、伝える「相手」がいて、その相手に対してどうなってほしいか「目的」が明確にあるわけですよね。プロポーズと近いと思います。プロポーズも、相手がいないと成立しませんし、「相手と結婚したい」という目的を果たしたいから、プロポーズの言葉を考えるわけですよね。ただ何となくキレイにまとめるのではなく、「どう伝えれば相手に伝わるか」を考えるのが、キャッチコピーを作るうえで大切だと思います。イメージはこんな感じです。

この「キャッチコピー」に当てはまる言葉を、コピーライターは逆算させて考えています。何を言ったら興味を持ってくれるのか。どう言ったら興味を持ってくれるのか。キャッチコピーとは簡単に言うと、「相手の気持ちを動かす言葉」だと考えます。

type

キャッチコピーの種類について

▼ブランディングか、販促か。

キャッチコピーの最終目的は「売上を上げる」ですが、その「売上」は、
売上=単価×個数
というざっくりとした計算式にできると思います。要は「高く売るか」「たくさん売るか」の2つの方法ですね。そういった意味で、「単価」に寄与するのがブランディング。「個数」に寄与するのが販促だと思います。

ブランディングコピーは、具体的なメリットを伝えるというよりは、企業がどういう想いで活動しているのか、どういうメッセージが商品に込められているのか、商品やサービスを通じて社会をどう変えていきたいのか等を伝えていきます。ブランディングにおいては(単価を上げるには)、いかにその商品に手間暇がかかっているか、なぜそこまで手間暇をかけてでも売りたいのかを深堀をし、それを分かりやすくまとめた「ストーリー」のあるコピーが好まれます。「課題」→「想い」→「商品」という流れを伝えるわけですね。

販促コピーは、商品の特徴を顧客の価値におとしこみ、そのコピーを読んだ瞬間に「商品を使うとどんないいことがあるのか」が分かる具体性のあるコピーが好まれます。例えばスーパーでティッシュを買うのに「作り手がどんな手間暇をかけているのか」はあまり興味ないと思うんです。たいていの人は「メーカー」「安さ」「柔らかさ」「何枚入りか」という機能を見ると思うので、その選ぶ基準の中で「この新商品のティッシュは、シルクのような肌触りですよ」と、その商品を選ぶ理由を提示していくかが大切だと思います。

▼単発的か、長期的か。

そのコピーが単発のものなのか、ずっと継続して使われるものなのかも大切な基準です。ABテストでどんどんブラシュアップしていきたいのに、全社員にインタビューをしている時間はないですし、逆に企業理念を速攻つくった後、コロコロ変わっていったら信頼感がなくなってしまいますよね。短期的なのか長期的なのかによっても、キャッチコピーを制作する工程が変わってくるかなと思います。

ここで、具体的にキャッチコピーの参考例文を見ていきたいと思います。企業と商品で分けて解説いたします。

for company

企業キャッチコピー(タグライン)参考例文一覧

【顧客に対するベネフィット】
・わたしらしくをあたらしく(LUMINE)
・ドトール、のち、はれやか。(ドトールコーヒー)
・ココロも満タンに(コスモ石油)
・毎日の料理を楽しみにする(クックパッド)

どのコピーも私たちに対してどんな幸福を与えてくれるのかを訴求しているコピーです。ルミネに行けば、新しい自分に出会える。ドトールを飲むと、悩みがとけていく。コスモ石油に行くと、なんだか元気までもらえる。その企業が存在することで、私たちにどんないい価値をもたらしてくれるのかを想像することが大切かと思います。

【顧客との関係性】
・お口の恋人(ロッテ)
・あなたと、コンビニ、ファミリーマート
・i’m lovin’it(マクドナルド)

こちらは、企業が顧客にとってどういう存在でありたいか「関係性」を重視したキャッチコピーになっています。顧客に甘えられる存在を目指すロッテ、顧客といい関係を築いていくファミリーマート、顧客にとってお気に入りのお店を目指すマクドナルド。どういう顧客と、どういう繋がりを目指しているのかを主軸に置いたキャッチコピーですね。

【企業の姿勢(色)】
・あそびましょ。(赤城乳業)
・JUST DO IT(ナイキ)
・自然が好きです。(伊藤園)

遊び心を大切にする姿勢や、そこから生まれる楽しさを重視する、赤城乳業。アスリートの挑戦や挑戦者の背中を押す、ナイキ。見るだけでお茶本来の美味しさや安心感が優しく伝わってくる、伊藤園。三者三様で、どのような価値観を大切にしているかを端的に表しているキャッチコピーですね。企業の姿勢、性格、色がはっきり見えてきます。このコピーだけで、どのような商品、デザイン、キャンペーンが各企業に合っているかを想像できますよね。この一言だけで、他社と差別化できそうです。

【ビジョン】
・服を変え、常識を変え、世界を変えていく(ファーストリテイリング)
・昨日まで世界になかったものを。(旭化成)
・まだ、ここにない、出会い。(リクルート)

こちらは、未来に対する大きなビジョンが伝わるキャッチコピー。現状の世界を、どのように変えていくかを提示しているように感じます。未来志向ですね。これからの世界にどう貢献していくか。どんな新しい社会をつくっていくのか。そんな「挑戦」や「情熱」が伝わりやすいキャッチコピーになっているかと思います。

企業のキャッチコピーを作る際は、社員みんながその言葉に共感すること。そして、顧客がその言葉を見て、企業に価値を感じ、応援したくなることだと思います。コピーライターが言葉だけひねって提案するよりも、一緒に納得のいく言葉を探していく作業が求められてくると思います。「なぜこの企業で働いているのか」「何を目指して仕事をしているのか」を振り返る作業は、キャッチコピーを完成させる以上に、社員全員にとって貴重な機会にもなると思います。

for service

商品・サービスのキャッチコピー 参考例文一覧

【言い換え】
・「人をダメにするクッション」=ビーズクッション
・「想像力と数百円」=新潮社
・「駅前留学」=NOVA

商品の特徴を、一言でズバッと価値に言い換えたようなキャッチコピーですね。「つい動けなくなるほどリラックスできるビーズクッション」「数百円で豊かな想像力を育む新潮社」「駅まで外国人講師から英会話レッスンができるNOVA」というのが伝わってきます。「コンセプト」や「タグライン」に近いキャッチコピーかなと思います。

【シーン】
・考える人にとって、栄養は、味方だ。満腹感は敵だ。(カロリーメイト)
・好きだから、あげる。(丸井百貨店)
・今年の夏は、私のかわりに、手紙が帰る。(パイロット)

ビジネスマンやクリエイターに対して、新しい食事の摂り方を提案するカロリーメイト。慣例や世間体ではなく、好きな人にギフトを贈ろうと提案する丸井百貨店。コロナ禍で帰省できない人に向けて、手紙を書いてみませんかと提案するパイロット。それぞれ商品が、どのシーンでどう役立つのかを分かりやすく示しています。「使用シーン」を想起させるキャッチコピーかと思います。

【差別化】
・結果にコミットする。(RIZAP)
・なにも足さない。なにも引かない。(シングルモストウイスキー山崎)
・一目で義理とわかるチョコ(ブラックサンダー)

「うちは結果にコミットする」と目に見える効果にこだわるライザップ。「うちはなにも足さないし、なにも引かない」と変わらない美味しさを伝える山崎。「うちは一目で義理と分かる」とバレンタインデーの有用性を伝えるブラックサンダー。どれも「うちは」と付けられるほど、自分たちの商品・サービスへのこだわりや特徴が一発で伝わってきますね。差別化に役立つキャッチコピーかなと思います。

【共感】
・集団だとついつい、分かったフリをする。 (Gaba)
・仕事を聞かれて、会社名で答えるよう奴には、負けない。(ガテン)
・そうだ 京都、行こう。(JR東海)

「そうそう、集団だと分からないことを聞くのは恥ずかしいよなぁ」「確かに、会社名を自慢してくる人はイラっとするなぁ」「たしかに、仕事で疲れるとふと、京都でゆっくり旅したくなってくるなぁ」そんな「共感できる本音」を代わりに言ってくれるキャッチコピー。ターゲットが心に抱えている悩みや願望を突いてあげることで、好感を抱かせるような効果もあると思います。ユーザーに寄り添った提案をしたいときに有効かもしれません。

【商品想起】
・男は黙ってサッポロビール
・ゴホン!といえば龍角散
・バイトするならタウンワーク

商品やサービス名をキャッチコピー内に入れ込むことで、自然ときっかけを想起させるようなキャッチフレーズ。この場合キャッチコピーだけで成立するというよりは、テレビCM等のメディアでこのフレーズを繰り返し露出させていくことも大切になってくると思います。(「バイトするならタウンワーク」と、松本人志さんがとにかく連呼しまくっていましたよね) 競合他社から出し抜きたいときに有効かもしれません。

copy of english

キャッチコピーは英語がいい?

キャッチコピーのご依頼を受ける際に、英語にこだわりの強い方が時々いますが、冒頭で説明した通り、キャッチコピーは「誰かに伝える」ためのコミュニケーションです。なので、海外に向けてグローバルメッセージを発信したい時には英語は有効だと思います。(当たり前ですが)ただ、「かっこいいから」という理由で英語を使うのは、あまりおススメしません。「あ、ただかっこよくするために英語にしてるな」が伝わってしまうことすらあると思います。どんなにスマートな英語より、心のこもった本音の方がずっと伝わります。言葉の見た目よりも「何を伝えるか」にこだわった方がいいと私は思います。

copy of classic

名作を惹きたてるキャッチコピー

アニメや映画、ゲームや本においても名作キャッチコピーは多くあります。とくにジブリ映画における糸井重里さんが手掛けたキャッチコピーはファンが多いですね。(もののけ姫「生きろ。」など)ここでは私の好きな名作コピーの一例を挙げてみたいと思います。

【ゲーム】
・あなたのせいで、死体が増える(かまいたちの夜)
・どうあがいても絶望(SIREN)
・エンディングまで、泣くんじゃない。(MOTHER)
・最後の一撃は、せつない。(ワンダと巨像)
・全員参戦(大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL)

【映画】
・子どもの頃、世界を救いたかった。 今夜は、あいつを救いたい。(映画ドラえもん のび太の月面探査記)
・音を立てたら、即死。 (クワイエット・プレイス)
・全員悪人 (アウトレイジ)
・4歳と14歳で、生きようと思った。(火垂るの墓)
・最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。(カメラを止めるな!)

unique

言葉はこんなに自由!面白いキャッチコピー

ちょっとユニークなキャッチコピーもご紹介します。こちらの参考例をみると、言葉って本当に自由で、変幻自在のコミュニケーションだと感じます。

▼トクヤマデンタルのキャッチコピー
歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯 歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯菌歯 知らない間に「菌」は潜んでいる。
(第56回宣伝会議賞シルバー)


こちらは「歯」の中に「菌」を見つけるゲームのようなコピーですね。「知らない間に菌は潜んでいる」というメッセージも説得力があります。ただ「キャッチ」するだけではなく、じっくり歯について考えてしまうような効果もありそうです。キャッチコピーはコンテンツにすらなり得るんですね。


▼コペル英会話教室のキャッチコピー

おもえば、わたたしち にほんじん も、いつも
かんきぺな にほんご を つかてっいる わけ では
あまりせん。つっかえたり、いいまちがたえり、
ごじ・だつじ が あたっり。そでれも、こんな
ふうに、なんなとく つたっわて。ことば って、
コニュミケーョシンって、それで じゅぶうん だと
おもう のです。さあ、きがる に、えいご を
はなし に きて くさだい。 かぺんき じゃなくても、
だいょじうぶ。ほら、こなんに めちくゃちゃな
ぶんしょう でさえ、つわたてっいる のですから。

こなんに めちくゃちゃな ぶんしょう でさえ、 つわたる。



これは確か「最初の文字と最後の文字さえ合っていれば、文字並びが適当でも意味は伝わる」という海外の研究があって、それをうまく広告に活用したキャッチコピー。拙い英語でも、十分コミュニケーションが成立することを証明するような文章ですね。たしめに、つかたいくなる、おしろもい、コピーですね。


▼そごう・西武のキャッチコピー

大逆転は、起こりうる。
わたしは、その言葉を信じない。
どうせ奇跡なんて起こらない。
それでも人々は無責任に言うだろう。
小さな者でも大きな相手に立ち向かえ。
誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。
今こそ自分を貫くときだ。
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。
わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。
土俵際、もはや絶体絶命。

ここまで読んでくださったあなたへ。 文章を下から上へ、一行ずつ読んでみてください。 逆転劇が始まります。

さ、
ひっくり
返そう。

一見普通に読むと悲観的なメッセージですが、こちらを下の行から読み返すと一気に意味が逆転するレトリカルなコピー。1度だけではなく、2度読ませるところや、読後感や驚きまで合わせて伝えられている面白い技ですよね。元旦に出たそごう・西武の新聞広告ということで、一年の初めから元気がもらえるようなメッセージですね。

summary

キャッチコピーの作り方まとめ

・キャッチコピーとは、顧客の心を動かすコミュニケーション。
・ブランディングか販促かで、キャッチコピーの作り方は変わる。
・単発か継続して使われるものかで、キャッチコピーの作り方は変わる。
・企業のキャッチコピーでも、商品のキャッチコピーでも「何を」伝えたいかを明確に。
・英語のキャッチコピーは、日本人には飾りになりやすい。
・キャッチコピーは、それだけで広告コンテンツにもなり得る。