キャッチコピーの書き方を学ぶことは大切だと思うのですが、レトリックだけではなく、意識レベルで大切なことが色々あります。そこで、コピーライターの自分がキャッチコピーを書くときに意識している10のことを紹介していきます。

キャッチコピーの書き方より、大切な10のこと。

キャッチコピーの書き方は、ただ巧い言い回しやかっこいい表現に書き変えるだけではありません。いきなりペンを走らす前に、キャッチコピーを書く前におさえておきたい10つのポイントを紹介していきます。

伝えたいことは、1つに絞る。

伝えたいことは、1つに絞る。
キャッチコピーの書き方の前に(1)

キャッチコピーの書き方の前に大切なのは「言いたい事は1つに絞る」こと。例えば、

「この薬は、腹痛にも胃腸炎にも便秘にもよく効きます」
「この薬は、とにかく腹痛によく効きます」

もしあなたが腹痛だったら、どちらの薬を選びますか?自分は後者です。なぜなら、後者の方がちゃんと腹痛に効きそうだからです。キャッチコピーのご依頼でよく、「AもBもCも伝えたい」というご要望をいただくことがあるのですが、その際自分は「結局、一番伝えたいことは何ですか?」と確認するようにしています。すべてのメリットを無理やり伝えると、どのメリットも全て半減してしまう可能性があるからです。

マーケティングには必ず「戦略」があります。競合と比べたときに、自分たちは「誰にどういう価値を伝えるのか」を明確にすることが大切なのですが、これはキャッチコピーにも言えると思います。メリットが複数あるとしたら、そのメリットの中でも一番ターゲットに刺さりそうな特徴はどこかと優先順位をつけながら整理することが大切だと思います。

ターゲットを絞る

ターゲットを絞る
キャッチコピーの書き方の前に(2)

キャッチコピーの書き方の前に大切なのは、ターゲットを絞ることです。クライアント様にキャッチコピーのターゲットをお伺いしたときに、

「20~50代の男女でお願いします」

とご回答いただいたことがあります。「大雑把…!」と心の中で突っ込んでしまいました(笑) おそらくクライアント様は、

「なるべく全員にアプローチをしたい」

という気持ちがあったのだと思います。しかし、みんなに伝えようとすればするほど、ひっかかりのない、当たり障りのない、つまり誰からもリアクションされないキャッチコピーになってしまいます。ターゲットを狭めることに抵抗のある場合、まず「コアターゲット」を定めてみるのがいいかもしれません。「色んなお客様がいる中でも、いちばん誰にとって価値のある商品なのか」を考えることで、「何を伝えるべきか」が明確になり、共感しやすい具体的なキャッチコピーが出てきやすくなります。

同じミネラルウォーターであっても、女子高校生にとっては「ラベルがオシャレ」が価値になるかもしれません。中堅サラリーマンにとっては「健康対策」、高齢者にとっては「いつものお茶を美味しくする」が価値になるかもしれません。人によって、商品の伝えるべきポイントは変わってくると思います。

また、ターゲットは、無理に「年齢と男女」や「年齢」で切り分ける必要もないと思っています。「健康を気にしている人」「お腹にやさしい飲み物を探している人」など、「解決できる悩み」からターゲットを絞っていくやり方もできると思います。

伝えるべき相手をしっかり定めることも、いいキャッチコピーを書くために大切です。

自慢話じゃなくて、いい話を書こう。

自慢話じゃなくて、いい話を。
キャッチコピーの書き方の前に(3)

キャッチコピーの書き方の前に大切なのは「自慢話ではなくいい話をする」こと。例えば、マスクのキャッチコピーを書くときに

「業界初!形状記憶ワイヤーがついた画期的なマスク!」
「1日中付けても耳が痛くならないマスク!」

の2つがあったら、どちらを購入したくなりますか。私は後者です。なぜなら、後者の方が、そのマスクを買うメリットが分かりやすいからです。前者は、商品の特徴をただ一方的に自慢にしているように思えます。買う人にとっては「業界初」だとか「形状記憶ワイヤー」という情報よりも、「耳が痛くならない」という情報の方が重要です。

自社の商品の良さを一生懸命伝えようとするがあまり、前者のようなキャッチコピーをつい書いてしまいがちですが、商品の特徴を伝えるより、お客様の「嬉しいこと」を考えることが大切です。その商品が、どういった嬉しさをお客様に提供することができるのか、どういった課題を解決することができるのかを整理することで、自慢話で終わらない、きちんとお客様に振り向いてもらえるキャッチコピーに近づいていきます。いかに相手の気持ちに立つかが、キャッチコピーにおいても、そしてコミュニケーションにおいても大切なポイントですね。

レビューを見てみる。

レビューを見てみる。
キャッチコピーの書き方の前に(4)

キャッチコピーの書き方といっても、いきなり書き始めるわけではなく、まずはリサーチから始めます。ホームページや業界、競合についてリサーチするのはもちろんですが、その中でも「お客様のレビュー」をヒントにすることが多々あります。

「お客様は何を期待して、その商品を選んだのか」
「お客様はどういう悩みを抱えていたのか」
「お客様から一番好評いただいてるところはどこか」

レビューを調べることで、お客様の本音が分かり、「お客様にとって嬉しいこと=ベネフィット」が明確になってくることがあります。

自分が商品を試すことと同じくらい、お客様の声ほどヒントになる情報はないのでしょうか。もしレビューがなくても、お客様はどういったことに満足していたのか、どういった声をいただいたことがあるかなど振り返ってみることで、より「お客様本位」の価値が見つかり、お客様に刺さりやすいキャッチコピーに近づけるようになっていきます。

「自分が伝えたい価値」だけではなく、「お客様が求める価値」についても考えてみることで、新しい価値を発見できるかもしれません。

想いも、差別化になる。

キャッチコピーの書き方の前に(5)

キャッチコピーの書き方の前に大切なのは、「競合他社との差別化」です。「そんなこといっても自分たちだけの強みってあまりないんだよね…」という悩みもよく聞きます。確かにどこにもないオンリーワンの商品って、なかなかありませんよね。特に「歯科医院」など、ある程度サービス内容が決まっている中で差別化を図るのはなかなか難しいです。しかし、それでも差別化できるポイントはあります。それは「想い」です。例えば歯科医院なら

・歯医者を開業した理由。
・歯医者を志したきっかけ。
・どういう歯医者を目指していきたいのか。

など、想いだけはオンリーワンなはずです。あなたの想いをしっかり伝えるで、「歯医者さん」ではなく、「〇〇さんがやってる歯医者さん」と他にはない新しい価値が生まれてくると思います。

私の場合、ヒアリングももちろんですが、社長の経歴やインタビュー記事なども結構リサーチします。その企業でしか言えないオリジナルワードが、その中に隠れていることが結構あるからです。自社サービスの原点について考えてみるのも、キャッチコピーのヒントになるかもしれません。

人生経験をキャッチコピーにする

人生経験をキャッチコピーにする
キャッチコピーの書き方の前に(6)

キャッチコピーの書き方の前に「自分の経験から考える」ことも大切です。例えば沖縄旅行をPRするキャッチコピーを書くのに、沖縄の情報を調べるだけではなく「自分が沖縄に行ったとき楽しかったことは何だったかな」と思い返すことも重要です。そこには嘘偽りのない、キレイごとじゃない、本当の「沖縄の良さ」が眠っていることがあるからです。

キャッチコピーは、語彙力が多い人よりも、色んな経験を積んでいる人の方が、結果として「ことば」の引き出しが多くなります。自分の体験ほどオリジナリティのあるものはないし、共感の湧くものはないと思います。

いきなり巧く書こうとしない

いきなり巧く書こうとしない
キャッチコピーの書き方の前に(7)

キャッチコピーの書き方の前に「いきなり巧く書こうとしない」ことがポイントです。というかベテランコピーライターでも、いきなり1本目で名作はほとんどないと思います。私の場合はどんなアイデアや言葉でも頭の中に溜めずに、とにかく書き出していきます。

「うまいこと言おう」
「かっこいいことを言おう」

この2つを意識しすぎると、一気にペンが動かなくなるので、この2つは一旦無視して、とにかく「この商品はこんないいことがある」という気付きを書き出していきます。かっこいいコピーをいきなり出そうと意識するがあまり「自分ではいいキャッチコピーが出せない」と思われる方も多いのですが、そういう方でも、まずは自分が「本当にいいと思ったこと」を素直に書き出してみることをおススメします。すると、書き出した言葉をヒントに「これが言えるなら、これも言えるかな」「こういう表現にするのもありかも」と言葉のたたき台になり、よりキャッチコピーがブラッシュアップしやすくなります。

「売るための言葉」というのを忘れない。

「売るための言葉」という視点を忘れない
キャッチコピーの書き方の前に(8)

キャッチコピーの書き方の前に、この意識も大切です。キャッチコピーはつまるところ「売上を上げるため」にあります。この視点って、言葉にこだわればこだわるほど、上手いことを言おうと考えれば考えるほど、結構置き去りにされがちです。いつの間にか「商品を自慢する」「企業を自慢する」という脳になってしまいます。でも、本当に大切なのは、「商品の良さを伝える」「企業の良さを伝える」という視点です。

「売り手視点」←→「買い手視点」

ここの視点を行ったり来たりしないと、一方通行のキャッチコピーになり、言葉だけがドヤ顔するような結果になります。「買い手にどういうメリットがあるのか」という当たり前だけど大切な視点を忘れずに、ちゃんと「人が動く言葉」を意識しましょう。

綺麗事を書くか、本音を書くか。

綺麗事を書くか、本音を書くか。
キャッチコピーの書き方の前に(9)

キャッチコピーの書き方の前に、まずキャッチコピーとは、かっこいい言葉を作ることではなく、むしろいかに「かっこつけてない」言葉を伝えていくかが大切だと思います。結局一番伝わるのは、本音です。

この本音をないがしろにして、言葉だけを飾っても、ただの綺麗事になってしまいます。ただ、本音をストレートに伝えたところで、どうしても平凡な言葉になってしまう場合に、別の表現を模索する、伝える相手の気持ちに立ってみる、本音を深堀してより具体化していくなど工夫が必要です。結局、レトリックは、「本音」を伝えるための手段でしかないと思っています。自分が本当に思っていることを忘れずに、その気持ちを活かして言葉にしていくことが大切です。

分かりやすく伝える。

分かりやすく伝える。
キャッチコピーの書き方の前に(10)

キャッチコピーの書き方において大切なのは、文章力よりもコミュニケーション能力だと思ってます。いくらかっこいい4文字熟語を交えても、いくら賢い慣用句を並べても、相手に伝わらなかったら全く意味がないと思ってます。コピーライターが書く名作キャッチフレーズは、みんなが納得できて面白いんですよね。

いいコピーが書ける人と、説明が上手い人って、「相手に分かりやすく伝える」という点で共通しているんじゃないかなと思ってます。例えば、小学生に分数の割り算を教えるときに、

講師A「分母と分子を入れ替えて逆数にしてからかけ算しましょう」
講師B「上下ひっくり返して、かけるだけ」

どちらの説明も正しいですが、講師Bの方が分かりやすいですよね。講師Aの場合、「え、分母って?分子ってどっち?逆数ってなに?」と子どもにとって難しい説明になっているかもしれません。「分数の割り算の説明」をしているのが、講師A。「分数の割り算を子どもに理解してもらおう」としているのが、講師B。この目的の違いが説明に表れていると思います。講師Aは「分子」「分母」「逆数」と、子どもに難しい言葉を使っちゃって、分かりにくい説明になっていますよね。一方、講師Bは「上下ひっくり返す。掛ける」という2ステップだけを簡単な言葉で伝えているので、子どもにとっても手順が理解しやすいです。

この違いって、「思いやり」からくるかと思います。「説明を初めて聞く相手のことを、どこまで考えているか」の違いかなと思うんです。

これは、塾講師に限らず、コピーライターでも大切なポイントだと思ってます。その人が普段どういう説明をしているかで、わりとキャッチコピーの能力を見ることができる気がします。「自分が話したいように気ままに話しているか」「相手に分かりやすいように工夫して話しているか」という意識の違いは、かなり大きいです。

キャッチコピーも説明も、「興味のない人に、どうやったら分かりやすく魅力を伝えられるか、納得してもらえるか」という点で共通しています。みんなに通じると思っていることは、実際は全然通じていないケースって恰好あると思ってます。この意識を忘れずに、「相手に一発で伝わる」技術を、日々磨いていきたいですね。

キャッチコピーの書き方の原則 まとめ

キャッチコピーの書き方の原則として「この人にこれを伝える」という明確な戦略を決めて、それをいかに飾らない本音で伝えられるかが大切になるかなと思います。例えば友達に映画をすすめられたとき、裏のありそうな営業口調じゃなくて、本音の感想ですすめられた方が見たくなってきますよね。キャッチコピーも同じだと思います。色々言いましたが、少しでもヒントにしていただければ幸いです。

キャッチコピーの作り方に関してはこちらの記事でも解説しています。

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