応募総数60万作品が集まるキャッチコピーの祭典「宣伝会議賞」のファイナリスト作品が発表されました。60万分の29作品。通過率にすると、0.004%。そんな中でもさらに秀逸な名作が、シルバー、ゴールド、そしてグランプリとして選ばれます。今日はその29作品の所感や考え方や作り方など考察しながら、どれがグランプリになるか予想していきたいと思います。

・口語調
・メリット訴求
・掛詞
・ユーモア系

関西電力は一昨年の秋頃に金品受領問題でニュースにもなったのですが、昨年6月に経営体制を刷新し新しいスタートを切りました。言い換えれば「リスタート」なわけですよね。それを「ほな」で表現しつつ、新しい関西電力の1つの柱「脱炭素化」を「エコ」で表現しつつ、かつ関西弁で「関西電力らしさ」をキャッチーに表現している見事な作品ですよね。たった5文字でこれだけの意味を詰められるのは、ただの掛詞ではおさまらない秀逸なキャッチコピーですよねぇ。

・文語調
・メリット訴求
・掛詞
・「〇〇を、□□に」
・ユーモア系

「キッコーマン豆乳」を調味料として料理に使用したくなるコピー。カルボナーラというこってりした料理も、豆乳を使えばサッパリヘルシーな料理になるということが「軽ボナーラ」という変化で伝わってきますね。ただ豆乳を入れる提案だけではなく、いつもの料理も新しく生まれ変わることまで訴求できています。また「カルボナーラ」と具体的な料理名を出すことで、豆乳を使った料理を分かりやすく連想させ、試してみたくなるようなコピーでもありますよねぇ。

・デメリット訴求
・事実
・数字
・真面目系

「コロナウイルスのリスクを減らすためにも、キャッシュレス社会にしませんか?」という、現金払いのデメリットから提案したCM。「コロナウイルス」を直接的にそのまま訴求していることにインパクトを感じます。肝心な最後の一行「コロナウイルスは、紙幣の上で28日間生き続ける。」は、2020年10月にオーストラリア政府の研究機関が発表しているため、エビデンスもしっかりありました。(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201012/k10012659821000.html) 「キャッシュレス」と「コロナ対策」を結び付けた作品はきっとたくさんあったと思いますが、ここまでしっかり調べて、かつコロナが紙幣によって蔓延している怖さをしっかり訴求できたいたのは、きっとこの作品だけではなかったのでしょうか。

・口語調
・メリット訴求
・意外なシーン
・ユーモア系

クレジットカードで払えば、様々な場面でポイントがもらえるというメリットを、手術の場面から訴求しようと思ったのは、このコピーだけだったのではないでしょうか。「手術」というシリアスなシーンを「ポイントがもらえる嬉しさ」というちゃっかりしたセリフとして昇華する面白さがありますよね。さらに手術費用という高額な費用だからこそ、ポイントが付く払い方をしたくなるという、現実でもしっかり参考にしたくなる提案になっているのがさすがですよね。

・文語調
・メリット訴求
・数字
・真面目系

今度は手術費用ではなく「生涯賃金」から、ポイントのお得さを訴求したコピー。たった「1%」のポイント還元であっても「2億円」という大きい数字を持ってこられると、馬鹿にできない額になることを連想させるような仕掛けをしてますよね。また「200万ポイントになる」という答えを出さずに、「付くとしたら」で切ることで、ワクワクさせるような想像を読み手に与えているのもうまいですね。1から10まで伝えすぎず、1から8までアシストし、あとは読み手に考えさせるという、読み飛ばされないコピーにもなっていると思います。

・文語調
・デメリット訴求
・強調
・真面目系

「現金で生活をしていると、今の財布の中身に合わせた生活を行うようになってしまう」というニュアンスが伝わってくるコピー。確かに好きなモノを見つけても、手持ちが少なかったら諦めてしまうかもしれない。キャッシュレスだったら、好きなモノを我慢することなく自由に買うことができる。この「自由」と対比させる言葉として「支配」というインパクトのある言葉を使っているところがうまいですね。「もう手持ちのお金というストレスを解放させませんか?」という提案にも感じられますね

・口語調
・デメリット訴求
・言い換え
・毒舌系

「現金払いは、ポイント放棄だ。」というコピーだったら、逆にファイナリストまで残っていないかもしれない。最後の「ということでよろしいでしょうか?」が、買い物のレジの場面を想起させつつ、「いや…よろしくないよな」と考えさせるような問いかけになっていることがうまいですよね。「読み手に考えさせる」作品が今回多いように感じます。また「ポイントがもらえる喜び」よりも、「ポイントを放棄するもったいなさ」の方が日本人にはとくに刺さりそうな感じもあります。

・文語調
・デメリット訴求
・事実、数字
・真面目系

日常シーンとは離れ、「現金払いだと日本の税金はもったいない使われ方をしてしまう」という視野を大きくした切り口。これもまた数字を使った事実訴求で説得力を持たせていますね。また「税金が無駄になっている」など余計な意見を入れずに、「517億円税金を使っている」とだけ伝えているところが、またうまいですね。これも読み手に「もったいない」と思わせるように自然に働きかけているようなトーンですね。

・文語調
・メリット訴求
・事実、数字
・真面目系

キャッシュレス社会になれば、現金を狙う強盗が少なくなる(治安が良くなる)と訴求した人は、結構いたんじゃないかなと思うんですが、スウェーデンの実例までリサーチして提示したコピーは、きっとこの作品だけだったのではないでしょうか。伝え方として「-93.6%」と、唐突に数字を持ってくることで「何の数字だろう?」と読み手に興味を持ってもらえるような仕掛けをしているのが、うまいですね。

・口語調
・メリット訴求
・もじり
・ユーモア系

JR東海の「そうだ 京都、行こう。」の名作キャッチコピーをもじった作品。「過去の名作をもじって遊ぶとは何事だ」と思う方もいるかもしれませんが、まさに公募だからこそ、こういうチャレンジングなコピーも許容されるのがいいなと感じました。伊右衛門は「京都福寿園」の茶葉を使っているということで、京都に行かなくても京都にいるようなまったり気分を味わえるという訴求。京都旅行にも行きづらい今の世の中だからこそより刺さるキャッチコピーになっているように思えますね。

・文語調
・真面目系

喫煙者に対して「タバコを吸うときは喫煙所で」とマナーを啓発するコピー。「タバコは喫煙所で吸おう」というよりも「たばこは位置についてから。」という方が、今いる場所が吸える場所かどうかをより気にしたくなるような提案になっていると思います。タバコを吸うときのルールに、最初に1行を新しく加えたようなコピーですね。もしこのコピーが流行ったら、歩きたばこが減るのではないかと効果まで期待できますよね。

・文語調
・デメリット訴求
・言い換え
・毒舌系

「広報なんていらん。うちは確かに一般的には知られていないが、知る人ぞ知る会社だから大丈夫だ」と言っている経営者様にグサっと刺すようなコピーですよね(笑) 自分の会社をいいように言っている会社に、現実を突きつけているような、ちょっと毒舌チックな言い換えですが、「確かにそうだ」と共感させられます。普段何気なく使われているフレーズを、疑ってかかるようなまさにコピーライターならではの視点のコピーだと感じました。

・口語調
・メリット訴求
・真面目系

中小企業の経営者様の悩みに寄り添うどころか、その悩みを肯定的に捉えてくれているところが「見どころのある」という言葉で伝わってきますね。悩みを話すのに抵抗がある経営者様が、素直に悩みを話したくなるようなコピーにもなっていると感じます。また、商工中金のスタッフの言葉をコピーにすることで、説明しなくても商工中金での相談シーンを自然に想起させる一言にもなっていますね。

・文語調
・メリット訴求
・関連ワード
・真面目系

ファイナリストの中で、一番オリエンに忠実なコピーかなと感じました。「電力だけじゃなくて、様々なサービスを提供している中部電力」という事実を、「こんな時代だからこそ、電力を飛び越えて精一杯社会に貢献していきたい」という真摯な姿勢に言い換えていて、本当心に刺さるスローガンになっていると思います。中部電力のイメージを上げてくれるブランディングとしても機能しそうですよね。

・文語調
・メリット訴求
・否定からの肯定
・ハートフル系

読んでいるだけで心が温かくなるキャッチコピー。「今日、郵便局の道を尋ねたらそこまで連れてってくれた人がいたのよ」と、お母さんが家族に食卓で話している様子など、明るいシーンが想起されてほっこりしますよねぇ。少し長めのコピーですが、「TVのニュースにはならないかもしれないけど」というのが、後半の「家庭のニュースになる」をより引き立てるためのフリになっている気がします。無理に縮めない優しいトーンが、この課題とも合っている気がします。

・文語調
・メリット訴求
・数字
・真面目系

同じ課題でも全く毛色の違うコピー。マナーの中でも「挨拶」という具体例に絞り「挨拶はコミュニケーション」という普通の解釈ではなく「挨拶は防犯対策」という意外なところと結び付けているのがまず抜けてますよね。ただ「挨拶は防犯になる」というところで終わらずに「一秒でできる」と数字で気軽さを強調させることで、より挨拶のハードルを下げていると思います。確かに、挨拶の多い街で、スリや強盗は活動しづらそうですよね。

・口語調
・デメリット訴求
・定型文
・ブラックユーモア系

プライバシーマークは個人情報を守るマーク。その逆の、他人の情報を知られる気持ち悪さを強調したコピー。「や~いお前の母ちゃんで~べ~そ~」という子どもの明るいからかいの定型文を「昭和55年2月29日…」と情報を冷静まくしたてる文に変えることで、一気に異質で目を惹くコピーになっていると思います。キャッチコピーだけではなく、CM企画にもなりそうですよね。

・デメリット訴求
・ユーモア系

こちらはラジオCM作品ですが、上のキャッチコピーと「情報が知られる気持ち悪さ」や「一見ほんわかした作品に見える」という点では共通している部分もありますね。「電話帳」という一見普通に見えるモノでも「よく考えたら、街中に電話帳が置かれていることって、異常だったのかもしれない」と、常識にメスを指すようなテーマで、色々気づきがありますよね。なぜか子どもが泣き始めるオチだけの面白さだけではなく「時代は変わりました。個人情報は大切に。」と、伝えたいことを簡潔にまとめプライバシーマークに繋げるのは、さすがですよね。

・文語調
・言い換え
・真面目系

「いい引っ越し業者を選ばないと、お隣さんとの関係がずっと悪化したままになってしまう」ということを端的に表現したキャッチコピー。「引っ越しなんていちばん安いところでいいや」と思っている人に、刺さるかもしれませんね。「日通は社員教育もしっかり行っている」という特徴ともひもづけてPRできるコピーでもあるかなと感じます。とくに、お隣さんとの関係はずっと続くものだから、あまり意識しないけど大切な点ではあると気づかされますね。

・文語調
・デメリット訴求
・擬人法
・ブラックユーモア系

荷物が来るたびに再配達をよくお願いしている人に、配達員さんを想ってコンボライトを勧めるような提案ですね。「文字が疲れ切っている」という擬人法ではあるのですが、極端ではなく、言われてみると再配達の文字ってどこかそういう印象があると共感できるような表現にもなっている気がします。配達員さんを応援する立場としても、このコンボライトを位置づけられそうですね。

・文語調
・デメリット訴求
・セリフ、たとえ
・毒舌系

こちらは再配達の際の「時間指定」に対してメスを入れるようなコピー。午前中配送だとその時間帯になりそうですね。通常の待ち合わせを例として出すことで、現状の時間指定配達の不便性を強調し、コンボライトがそれを解決してくれるというところに繋げていますね。午前中に荷物を受け取ってから出かけようと思っていたのに、結局11時50分までずっと出かけられなかったという経験がある人などに、とくに共感されるコピーかもしれません。

・デメリット訴求
・たとえ
・ブラックユーモア系

再配達のたびに何度も家と集配所の間を反復横跳びのように往復する、配達員さんのしんどさを強調したCM。

・ハートフル系

子どもの言葉にほっこりさせられる温かくて可愛いCMですね。可愛いながらも「お腹をさするよりも、しっかり新ビオフェルミンSで対策しよう」という提案になっていますね。また、お子さんでも飲めるという点もさりげなくPRできている気がします。新ビオフェルミンSのやさしさとCMの優しさがマッチした作品ですよね。

・口語調
・デメリット訴求
・真面目系

特にお腹がよく痛くなる人にとっては、「分かる分かる」と共感してもらえるようなコピーではないでしょうか。軽い症状だと思われる腹痛のイメージを払拭してくれるような、「新ビオフェルミンSだけはこの苦しみを理解してくれる」と印象を上げてくれるようなコピーになっているかなと思います。

・文語調
・デメリット訴求
・もじり
・ユーモア系

ブラブラ楽しく電車旅を楽しめる「ブラリ途中下車の旅」ではなく、途中でお腹を悪くししょうがなく電車を降りてしまう「ギュルリ途中下車」というギャップが、よりユーモラスな作品になっていると思います。電車を使って長距離移動する予定のある人に対して、新ビオフェルミンSで前もって腸の調子を整える準備をしておきたくなる気持ちにさせるコピーですね。

・文語調
・メリット訴求
・比較
・真面目系

3Dプリンタなど何でもモノが作りやすくなったこの時代でも「知名度」など広告人にしか作り出せないものがある、と広告人のプライドを感じさせるようなコピー。よく考えたら広告業界はメーカーと違い、リソースはすべて人であり、人のアイデアや情熱が、企業の売上に寄与すると改めて気づかされました。その具体例の1つとしての「知名度」で、広告の力でいい企業や商品を一生懸命社会に押し出していく、そんな汗水たらす広告人の姿が自然なトーンから想起されたコピーでした。

・文語調
・メリット訴求
・セリフ、数字
・真面目系

「病気は、お医者さん治してもらうもの」と思いがちだけど、実は医者や薬剤師が当たり前のように処方する薬も、見えないところで開発している人がいる、というテーマが伝わってくるコピーです。製薬メーカーが直接「ありがとうございました!」と患者様から聞く機会は少ないかもしれないという気付きが込められているように感じて、当たり前に出される薬にもたくさんの人が関わっていることと、薬の見方を変えてくれそうなコピーですね。

・文語調
・メリット訴求
・具体例
・真面目系

「デザインというのは、人や社会に役立つための…」と一生懸命説明するよりも、こういう具体例をポーンと提示すれば一発で分かるという戦略が、まずうまいなと感じます。「駐輪を防ぐ」という課題に対して、「駐輪禁止」という一般的な手段ではなく「花壇を置く」というみんなに通用する手段で課題解決をするというデザインの意義を伝えつつも、「デザインは、色や形などをいい感じに整えるだけではない」ということまで合わせて伝えているように思えます。

・メリット訴求
・具体例
・真面目系

こちらもテーマパークの道を具体例としてデザインの意義を伝えている作品。長々と解説するのではなく、シンプルにまとめているのが見やすくていいですよね。最初の1行で「へぇ」と聞き手の関心を惹きつけるような例を出しつつ、最後の1行も「デザイン」という言葉が耳に残るぐらい強調されるようにまとめているのが、隙がなくてうまいなぁと勉強になりました。

最後に、勝手に予想!

【グランプリ】
電力だけでは明るく出来ない時代になったから

【コピーゴールド】
そのあなたの思いやりは、TVのニュースにはならないかもしれないけど、優しくされた人の家庭のニュースになる。

【CMゴールド】
楽天デザインラボ

【眞木準賞】
ほなエコか。

【シルバー】
・カルボナーラを、軽ボナーラに。
・えっ、今回の手術費用もポイントがつくんですか。
・「知る人ぞ知る」は、「知られていない」ということです。
・挨拶は、一秒でできる防犯です。
・プライバシーマークのCM
・病院に行くほどでもないから、苦しい。
・知名度って工場じゃ作れない。

みなさんは、どの作品がグランプリだと思いますか?

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