「コピーとは、大喜利ではない」と前のコラムで書きました。大雑把に言えばコピーは「解決する一言」、大喜利は「笑わせる一言」と、考え方や目的が異なります。とは言いつつ、「一言で人の心を動かす」という点においては共通しています。だって、すごくないですか。一言で笑わすって。とくにフリップを出す大喜利に至っては、そのハードルは計り知れないもの。友達に言う冗談の一言とはわけが違いますよね。そんな大喜利選手権「IPPONグランプリ」を見て、つい声を出して笑った名作回答をまとめました!
「オカン、マジシャンと不倫してるな?」なぜ分かった?
ラブホから、男とホワイトタイガーと出てきた
想像するだけでシュールですよねぇ。「マジシャン」だと「トランプ」とか「鳩」ぐらいしか関連ワードが想像できなかったんですが「ホワイトタイガー」という一歩超えたところまで行きつけるのが、芸人さんってすごいですよね。
おとんとの壁をすり抜けた
視聴者投稿もレベルが高かったです。物理的な壁ではなく、まさかの心理的な壁までマジックですり抜けてしまうとは、発想がヤバい…。「マジック」にも「不倫」にも対応する見事な一言ですよねぇ。
【相手を傷つけないシリーズ】
紹介された彼女の父親が目玉おやじだったとき。
あ、うちと同じお茶碗だ
「目玉おやじ」の特徴からアプローチすると思いきや、まさかの「お茶碗」に視点を持っていくのがすごいなぁ。ハゲている人に「その服、かっこいいですねぇ」と全然違うところを注目して褒めるような感覚でしょうか。
なんか、いいっすよねぇ
全くもって何がいいのか全然分からないところが、いいですよねぇ。でも、妖怪のことを気にしている目玉おやじの前で、咄嗟に出てきそうなワードで、妙に共感できる一言ですよねぇ。
語尾に「あそばせ」を付けて相手をイラっとさせてください
迂回あそばせ
「迂回あそばせ」と書かれた工事現場の看板を想像したら、間違いなくイラっとしそうで納得感がすごいです。ただでさせ迂回することが「イラっ」とさせることなのに、それに拍車をかけているところが、面白いですよねぇ。
あなたに無縁なタワーマンションをご覧あそばせ
視聴者投稿の回答。「私が住んでいるタワーマンション」とかではなく「あなたに無縁な」と、直球火の玉ストレートで悪意をぶつけているのが、逆に面白いですねぇ。「あそばせ」は、上品でお金持ちなイメージも確かにあるから、このシチュエーションにはピッタリですよねぇ。
母ケンタウロスがモンスターペアレントに。学校にどんなクレーム?
うちの子にも乗馬体験させてください
このセリフから、「すでに乗馬しているからこいつはええやろ」という乗馬教室での先生の想いを間接的に感じられるのが、いいですよねぇ。また、馬を乗馬させるという、めちゃくちゃな要求が「モンスターペアレント」という課題にもあってますよねぇ。
「リモートでは気づかなかった」ってどういう意味よ?
「ZOOMでは上半身しか見えずに普通の人間に見えていたのに、実際に会ったら驚いた」という含みがあって、面白いですよねぇ。ケンタウロスでも見方によっては普通の人間に見えるという、なんか新しい発見がある気がします(笑)
「ジャパネットたかた」の神回。何があった?
こちらで負担した送料返してください
これぞ逆転の発想。今まで負担してきた送料、ついに耐え切れなくなってしまったという裏側まで見えてくるような広がりのある一言ですよねぇ。大喜利って、ただめちゃくちゃな回答だけではなく、そこに心情が載ると一層強くなりますね。
流しそうめんの回で、女性MCが一回もそうめんを救えなかった
なんか、YouTubeの放送事故でとりあげられていそうな、ニコニコ動画のコメントで突っ込まれていそうな、クスっとさせる絵が浮かんでほっこりしました(笑)「流しそうめんの回」という、そもそもシュールな言葉も面白いですねぇ。
こう見てみると、ただはちゃめちゃな回答をするのではなく、しっかりお題に沿って、想像を超える一言、そして、その一言からドラマを感じさせるものが、「面白い」に繋がるのかなぁと感じました。何かコピーのヒントにもなるかもしれません。

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